対談集「見わたせば柳さくら」
小説家で随筆家の丸谷才一さんと、劇作家で評論家の山崎正和さんの最強対談集。
『みわたせば柳さくら』
初めてよんだのが学生のときだったか社会人成り立てのときかは忘れましたが、とにかく衝撃的だった。
日本文化の見方がこれを読んでから変わりました。
そんな一冊。
いろんな対談を読んだけれど、この二人は最強タッグだなぁ。
いつまでも聞いていたい二人のおしゃべりでしたが、2012年に丸谷才一さんが亡くなられてしまったので、もう掛け合いが読めないのがとても寂しいです。
しかし、相性が良かったのでしょうね。共作がいくつもあるのが「二人の対談」ファンにはたまらないところです。
表題にある桜を題材に「花見」から始まる、日本人はいったいいつから桜が好きになったのか。桜という名前から読みとく古代信仰、御霊信仰との関連。徳川幕府が意識的に文化に取り入れた狂気としての桜の利用。
また妾宅にはあじさいを植えてはいけない(色が変わるから)
和歌にある恋文の採点(侍女に書かせないで自分で書いたから下手なのかも)
日本人の匂いの感覚まで、とにかく好奇心が沸き立つ話が脱線なのか本線なのか判らない早さで展開されていきます。笑
このテンポの応酬ができるのがまさに二人ならではというところ。
テーブルの横でプライベートな講義を受けているような、わくわく感を体験できます。
本の題材はさらに歌舞伎、相撲、美術史、忠臣蔵を題材に都市論から日本文化に発展。日本史、世界史が好きなかたにはたまらない一冊ではないかなぁ。
こどもであった私の視野が一気に広がった大切な本。
またゆっくり、二人の対談集を読み返してみようかな。
見わたせば柳さくら(中公文庫)
丸谷才一/山崎正和(著)
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