塩野七生「ルネサンス歴史絵巻3部作」
塩野七生さんといえば、日本にイタリア文化を紹介した第一人者。
「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」
「ローマ人の物語」(全43巻)
などで知られてますが、珍しくカジュアルな小説も書いてます。
こちらの三部作。
ヴェネチア貴族のマルコ・ダンドロと高級遊女オリンピアとの大人の恋愛を軸に描かれる3部作。
この2人以外はほぼ実在の人物で構成されていて、巻き込まれる背景となる事件も史実に基づいています。
ヴェネチア、フィレンツェ、ローマと巻数ごとに都市を変えて繰り広げられるイタリア版時代劇とでもいいますか。
時代的には、スペイン皇帝カルロスと、トルコのスルタンスレイマンの2大大国の絶頂期に挟まれたイタリアが徐々にその勢力にのみ込まれ、自治を保っているのはもはやヴェネチアのみという状況。
主人公は絶妙に各国とバランスを取っているヴェネチア政府の中枢機関に所属しているので、関わる事件のスケールも毎回大きい。
高級遊女オリンピアは頭の回転も早い素敵な女性で、マルコとの掛け合いもとても味があります。
同じく塩野氏の「海の都の物語」(全6刊)は、ヴェネチア共和国の自由と独立の一千年の繁栄がなぜ可能だったかについて克明に描かれた興亡史です。
この時代にあっての「自由」と「独立」が可能だったことにも非常に驚きますが、絶妙な政治的手腕を発揮する「共和国」の在り方に、現代の政治家にこのような人々がいるだろうか?ととても羨ましい。笑
併せて読むと、より一層楽しめます♪
緋色のヴェネツィア-聖(サン)マルコ殺人事件
銀色のフィレンツェ-メディチ家殺人事件
黄金のローマ-法王庁殺人事件
すべて朝日文芸文庫
塩野七生(著)
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